トランプ氏が新指名候補を狙う理由と、ホワイトハウスによる政策改革の中身

トランプ氏が新指名候補を狙う理由と、ホワイトハウスによる政策改革の中身 米国経済
トランプ氏が新指名候補を狙う理由と、ホワイトハウスによる政策改革の中身

トランプ大統領とFRBついて考えていきたいと思います。
金融政策を司る米国の中央銀行、
FRB(連邦準備制度理事会)に大きな変化が訪れるかもしれません。現職のパウエル議長に対し、以前から利下げ圧力をかけ続けてきたトランプ氏ですが、再任時に向けて新たなFRB議長候補を絞り込み、さらに制度改革まで視野に入れていることが明らかになっています。FRBの独立性が揺らぐ可能性を秘めた、この一連の動きについて詳しく見ていきましょう。

新たなFRB議長候補の顔ぶれと、その選定の背景

トランプ氏は、次期FRB議長候補を4人に絞り込んだことを公言しました。その中には、かつて国家経済会議委員長を務めたケビン・ハセット氏や、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏といった著名な経済専門家が含まれています。残りの2名は匿名ですが、いずれも利下げに積極的な姿勢を持つ人物だとされています。

当初、有力候補と目されていたスコット・ベッセント氏は、「現職に留まりたい」との意向を示して候補から外れました。この候補者選定の背景には、トランプ氏の経済政策と足並みを揃え、「大統領の計画に沿った」金融政策を実行できる人材を登用したいという強い意志が感じられます。

トランプ氏が求める「FRB改革」の驚くべき中身

ウォール・ストリート・ジャーナル紙などの報道によると、トランプ氏が検討しているFRB改革案は大きく二つの柱から成り立っています。

  1. 大統領にFRB議長の解任権を与える

    • 現行法では、FRB議長は「大きな瑕疵」がない限り解任できません。しかし、この改革案では法改正を行い、「政策の不一致」も解任理由に含めることを検討しているとされています。これは、大統領の意向に沿わない金融政策が取られた場合、議長を更迭できる権限を求めるものです。

  2. 金融政策の決定プロセスへの大統領関与を強化する

    • FRBの金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)に、大統領代理を臨時理事として参加させるという案も浮上しています。また、政策決定の前に大統領の意見を必ず聴取し、FOMCの議論に反映させる規定の導入も検討されているようです。

これらの改革は、ホワイトハウスが金融政策に直接的に介入する道を開くことになり、FRBの独立性を大きく後退させる可能性を秘めています。

法改正なしでも実現可能?FOMCの多数派掌握戦略

法改正には議会の承認が必須であり、その成立は容易ではないと指摘されています。しかし、トランプ氏には法改正が困難な場合でも、FRBの金融政策をコントロールする戦略があるようです。

それは、FRB理事のポストに利下げを志向する候補者を次々と任命し、FOMCの多数派を確保するというものです。FOMCは、FRB理事7名とニューヨーク連銀総裁、その他4名の連銀総裁で構成されます。トランプ氏がFRB理事の任命権を最大限活用すれば、FOMCの過半数を占める可能性が高まります。これにより、大統領の意向に沿った早期利下げが実現するシナリオが現実味を帯びてきます。

FRB改革が市場に与える潜在的な影響

FRBの独立性が後退し、金融政策が政治的な意図に左右されるようになれば、世界の金融市場に大きな影響が及ぶと考えられます。

まず、FRBが利下げを急ぐことで、米国の長期金利の上昇やドル安圧力が強まる可能性があります。これは、トランプ氏が掲げる「低金利・ドル安」政策に沿ったもので、保護主義的な産業保護政策を推進する目的の一つと見られています。しかし、この動きは世界の資本フローや為替相場に大きな変動をもたらし、国際的な金融市場の不安定化につながる恐れも指摘されています。

結論 大統領の介入とFRBの未来

トランプ氏が再任された場合、FRBは「利下げ志向の人材任命」と「政策決定への大統領介入強化」という、二つの大きな変化に直面する可能性があります。これらの動きは、長年にわたり保たれてきたFRBの独立性を根底から揺るがすものであり、その結果が世界の経済にどのような影響をもたらすのか、今後も注視していく必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました